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地方公共団体の格付方法 ニュースリリース | 日本格付研究所 JCR 17d0182 1

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17- D- 0182

201 7 年 6 月 1 日

地方公共団体の

格付方法

株式会社日本格付研究所(J C R)では、2008年 2月 26日に公表した「地方債格付の格付手法」の内容を 改 定 し 、「 地 方 公 共 団 体 の 格 付 方 法 」 に 変 更 す る こ と と し ま し た の で 、 お 知 ら せ し ま す 。 こ れ は 、 J C R が 2017 年4 月10 日付のニュースリリース「地方債格付の格付手法変更にあたり意見募集」により公表した検 討の結論です。改定の内容は同ニュースリリースで示した案の通りです。なお、改定に伴い個別格付につい て変更はありませんが、愛知県に新たに発行体格付および格付の見通しを付与することになります。

(担当)加藤 厚・南澤 輝

■留意事項

本文書に記載された情報は、J C Rが、発行体および正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、また

はその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、J C Rは、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、

的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、J C Rは、当該情報の誤り、遺漏、また

は当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。J C R は、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、

金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因

のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。また、J C Rの格付は意見の表明であ

って、事実の表明ではなく、信用リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするも

のでもありません。J C Rの格付は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。格付は原則として

発行体より手数料をいただいて行っております。J C Rの格付データを含め、本文書に係る一切の権利は、J C Rが保有しています。J C Rの格付データ

を含め、本文書の一部または全部を問わず、J C R に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。

■NR S R O 登録状況

J C R は、米国証券取引委員会の定める NRSRO(Nationally Recognized Statistical Rating O rganization)の 5 つの信用格付クラスのうち、以下の 4 クラ スに登録しています。(1)金融機関、ブローカー・ディーラー、(2)保険会社、(3)一般事業法人、(4)政府・地方自治体。

■ 本件に関するお問い合わせ先

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JCRでは、地方公共団体(以下、「地公体」という)の格付を行うにあたっては、国による信用補完

とともに、個々の地方公共団体の税収基盤や財政状況、財政運営などについても、あわせて評価を行

っている。以下に地公体格付の方法の概要について記す。

1. 国による信用補完

地公体の信用力は、財政計画制度、地方交付税制度、財政再建制度、地方債制度といった、国の

信用補完によって支えられている。地公体に対する国の信用補完は強固なものであり、地公体の格

付は非常に高い水準となるが、国の格付動向に影響されることになる。

(1)地公体の位置付け

福祉、学校教育、消防、道路や河川等の社会基盤の整備を始めとした国民生活に密接に関連する

行政は、その多くが地公体により実施されている。国民経済計算において、政府部門のうち地方政

府が国内総生産(支出側、名目)に占める割合は11.9%(14年度)と、中央政府の約2.5倍の構成

比となっており、地方政府は中央政府を上回る最終支出主体である。公的支出の内訳を最終支出主

体別にみると、地方政府は政府最終消費支出においては 41.1%(同)、公的総資本形成においては

69.8%(同)を占めている。このように、地方財政は国の財政と並ぶ車の両輪として、極めて重要

な地位を占めている。

(2)地方財政制度

国は人口や産業の集積の度合いによる地域間格差や景気の動向による税収の年度間格差にかかわ

らず、地公体がその重要な責任を果たすことが出来るよう地方財政計画を通じて、地方の財源を保

障し、地方交付税や地方債などにより各地公体に財源保障をしている。

地方交付税を中心とした国から地方への財政移転の総額は、毎年度の国の予算編成の過程で決定

される。地方税に地方交付税、臨時財政対策債などを加えた一般財源総額の推移をみると、小泉政

権のもとで行われた「三位一体の改革」により04年度は大幅な減少となった結果、各地公体が予算

編成に苦慮することとなった。このため05年度以降は、地公体が安定的な財政運営を行えるよう配

慮が行われ、一般財源総額の水準を維持・確保することが重視されるようになっている。さらに、リ

ーマン・ショックを契機とした景気の著しい悪化、税収の大幅な落ち込みを踏まえ、08 年度以降11

年度まで既定のものとは別枠で地方交付税などの増額が行われた。また、11年度以降は地方税収が

回復に転じる一方、地方交付税はそれほど削減されなかったことから、一般財源総額は05年度以降

ほぼ一貫して増加しており、「三位一体の改革」以前の水準を上回っている。国の「経済・財政一体

改革」の取組においては、交付団体をはじめ地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源の総額

について、15年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保することとなってい

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(3) 財政健全化法

地公体の財政状況を統一的な指標で明らかにし、財政の健全化や再生が必要な場合に迅速な対応

を取るための「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」(財政健全化法)が、09 年4月に全面施

行された。財政健全化法では、実質赤字比率、実質公債費比率、連結実質赤字比率、将来負担比率

の 4 指標(比率)が地公体の健全化判断比率とされ、いずれかの比率が一定の基準を上回った地公

体は財政健全化計画を策定しなければならない(早期健全化スキーム)。また、健全化判断比率のう

ち将来負担比率を除いた 3 指標は再生判断比率とされ、そのいずれかが財政再生基準以上である地

公体は、財政再生計画を定めなければならない(再生スキーム)。

早期健全化スキームと再生スキームを比較すると、再生スキームでは国による関与が明確となっ

ている。具体的には、計画の報告、計画の実施状況の報告、及び計画達成が困難とみられる際の当

該地公体の長に対する勧告権限者が、早期健全化スキームでは総務大臣・都道府県知事であったが、

再生スキームでは総務大臣に限定されている。また、地方債の発行については、早期健全化スキー

ムでは総務大臣との協議だけでよかったが、再生スキームでは総務大臣の同意を得ていない場合は、

災害復旧等を除き地方債の起債が制限される。加えて、再生計画について総務大臣の同意を得てい

る場合に限り、収支不足額の範囲内で再生振替特例債を起債でき、同債について、国は資金事情の

許す限り適切な配慮をすることとなっている。さらに再生スキームでは、予算と再生計画との関係

が規定されているため、当該再生団体の予算編成においても事実上国の強い関与が働くと考えられ

る。

(4)地方債制度

地方債の発行に関しては、12年度からそれまでの協議制度に代わり、一定の要件を満たす地公体

について届出制度が導入された。さらに、16年度からは協議不要基準を緩和し、届出制度の対象が

拡大され、従前の協議対象を原則届出対象化した。

現行の地方財政制度において、地方債の元利償還に要する財源は、地方財政計画の策定及び地方

交付税の算定などを通じて国が保障している。また、個々の地公体が地方債の元利償還に支障を来

さないよう、公債費負担等が一定限度を超えた地公体に対する早期是正制度としての起債許可制度

により、地方債の発行を事前に制限することで元利金償還の安全性を確保している。

(5)地方行財政制度

地公体の格付を行う上では、地方債制度や地方財政制度の改革のみならず、地方行政制度改革の

動向にも目を配る必要がある。地方財政制度が地方行政制度と密接不可分な関係にある以上、格付

評価も行政制度のあり方に左右されることとなる。つまり、行政制度が変われば財政制度が変わり、

それに伴い地公体の格付の考え方も変わることになる。ただし、これまでのところ、制度面に関し

て、格付判断上重要な改革・変更は行われていない。

09年12月に策定された地方分権改革推進計画を踏まえ、関連する法律が4次にわたり成立、施

行されてきた。ただ、これまでの改革は、地方行政に対して国が行う義務付け・枠付けの見直しや事

務・権限の委譲を行うものが中心となっている。義務付け・枠付けの見直しは、行政サービスの提供

そのものの見直しではなく、事業実施の手法等に関する縛りを見直す趣旨のものとなっており、そ

れ自体は関連する国庫補助負担金の減額・見直しなど、地方財政制度の改革につながるものではなか

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また、15年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2015」を踏まえ、総務大臣か

ら「地方行政サービス改革の推進に関する留意事項について」が発出され、地公体に対し、より積

極的な業務改革の推進に努めるよう要請がなされた。今後も地方分権改革の動向は、地公体の格付

評価を行う上で重要と考えられる。

(6)国の財政運営スタンス

地方財政をみる上では、国の財政状況やその財政運営スタンスも重要である。国から地方への財

政移転の水準が維持されるためには、国の財政赤字や債務水準が持続可能な水準で保たれる必要が

ある。しかし、今後、国の財政運営に余裕が失われ、国から地方への財政移転が大幅に削減される

場合、個々の地公体の財政状況の格差が顕在化することとなる。特に注目されるのは、近年大幅に

残高が増加している臨時財政対策債の元利償還金の財源措置の動向である。臨時財政対策債につい

ては、元利償還金の全額に対して国から財政移転が行われることとなっているものの、一方で財政

移転総額は毎年度の予算編成で決定されるため、財政移転総額が削減されれば、結果として臨時財

政対策債の償還について財源が削減されることになる。

2. 地方公共団体の財政状況

地公体の個々の財政状況に関する評価は、定量面の評価と定性面の評価を総合したものとなって

いる。

(1) 定量面の評価について

地公体の定量面の評価は、直近までの決算を中心とした既に確定した情報に基づく評価であり、

①税収基盤・担税力、②普通会計の収支の状況、③負債の状況(公営企業や三公社等外郭団体を含む)

−という3つのポイントから行う。

① 税収基盤・担税力

地公体の税収基盤・担税力をみる際に重視する指標は、財政力指数、一人あたり県内(市内)

総生産−等である。加えて、市町村においては、一人あたり固定資産税評価額等についても重

視している。財政力指数は、基準財政収入額を基準財政需要額で除して得た数値の過去3年間

の平均値で、指数が高いほど、普通交付税算定上の留保財源が大きいことになり、財源に余裕

があることになる。

(重視する指標)

■ 財政力指数

■ 一人あたり県(市)内総生産

■ 一人あたり固定資産税評価額(市町村)

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普通会計の収支の状況については、経常収支比率、足許までの財源不足・財源対策の状況、財

政運営に活用できる積立金残高−等を重視する。経常収支比率については、分母に減収補てん

債(特例分)、臨時財政対策債を含めたものを活用するほか、満期一括債券に対する減債基金へ

の積立不足がある場合、積立方法が他団体と大きく異なる場合は修正を行う。また、都道府県

では、法人関連税の動向によって経常収支比率の年度毎の振れが大きくなる傾向があるため、

移動平均等で振れを排除している。また、足許までの財源不足・財源対策において、基金や他会

計等からの借入、行政改革推進債等特例債の発行が必要となっていた場合は、収支が相応に厳

しかったと判断する。

(重視する指標)

■ 経常収支比率

■ 地方債等の償還に充当可能な基金

③ 負債の状況(公営企業、三公社等外郭団体を含む)

負債の状況については、将来負担比率、及びその「算定の基礎となる事項」を活用している。

4つの健全化判断比率の指標は、それぞれ対象とする会計範囲が微妙に異なる(図表参照)が、

将来負担比率は一定の前提の下とはいえ、地方公営企業や外郭団体等といった地公体の関与が

及ぶほぼ全ての会計や法人等を対象として、当該地公体が将来的に負担する可能性がある純債

務残高が算定されている唯一のストック指標である。

地方公営企業、地方三公社、及び第三セクター等の外郭団体については、繰出金や追加出融

資等により普通会計にどの程度負担が及ぶかを勘案する必要がある。公営企業や主要な外郭団

体の経営状況・財務状況を個別に分析した上で、それらに対する普通会計の負担額の算定につい

て、個々に妥当性を検証していくこととなる。

(重視する指標)

■ 将来負担比率

(2) 定性面の評価について

定性面の評価では、将来的な財政見通し、及びそのベースとなる財政運営スタンスがポイントと

なる。定性面の評価とはいえ、単に方向性だけでなく、財政指標がどの程度改善・悪化するか推計で

きるよう極力定量的な情報の把握に努めている。評価上の主な視点としては、①歳出の見直し、債

務管理等の財政健全化に向けた取組み、②普通会計等における財政収支・財源対策の見通し、③公営

企業や外郭団体等の経営基盤強化に向けた取組み、財務状況の見通し−が挙げられる。

財政健全化に向けた取組みについては、行財政改革プラン等の内容に加えて、当該地公体として

の財政健全化に向けた意志の強さを考慮する必要がある。立派な計画が掲げられたとしても、議会

や地域住民の世論等の動向によっては改革が頓挫してしまうこともあるためである。議会の動向等

を踏まえて当該地公体の意志の強さが確認できれば、少なくとも現行の首長の任期中の財政健全化

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指標の改善見通しについて、可能な限り定量的な情報を把握することにより、格付に織り込んでい

くこととなる。

債務管理については、地方債残高の将来的な見通しの下、残高や発行額について極力明確な数値

目標を設定している方が望ましい。

普通会計等における財政収支・財源不足の見通しについては、見込まれる財源不足額に対応する財

源対策の内容が注目される。歳出削減等で賄うことができず、基金等からの借入や特例債の発行に

依存することは将来への負担先送りとなるため、基本的には望ましくない。なお、財政収支の見通

しは、歳入、歳出の前提によって大きく異なってくるため、検討にあたってはその前提の妥当性を

検証する必要がある。

公営企業や外郭団体等の経営基盤強化に向けた取組み、財務状況の見通しについては、将来のキ

ャッシュフロー、債務返済原資の見通しが特に注目される。定量評価において、これらが抱える債

務残高に係る普通会計の負担額は、基本的に直近の決算に基づいて算定されることから、将来的な

経営改善の効果は織り込まれていない。これら公営企業や外郭団体等において、経営改善に伴い営

業キャッシュフローが増加すれば、これらの債務償還にあたっての普通会計の負担額は減少するこ

とが見込まれる。

以 上

図表 健全化判断比率の対象範囲

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http://www.jcr.co.jp/ ◆留意事項

本文書に記載された情報には、人為的、機械的、またはその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCRは、 明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性につ

いて、一切表明保証するものではなく、また、JCRは、当該情報の誤り、遺漏、または当該情報を使用した結果について、一切責任 を負いません。JCRは、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、金銭的損失を含むあらゆる種 類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因のいかんを問

わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。また、当該情報はJCRの意見の表 明であって、事実の表明ではなく、信用リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関し

て何らの推奨をするものでもありません。本文書に係る一切の権利は、JCRが保有しています。本文書の一部または全部を問わず、

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